KAZUHICOFFEE 店主の思い ~ Made in ログハウス誕生まで

会社員時代

少し前まで僕は珈琲好きな普通の会社員でした。ただ、毎週のように美味しい珈琲を求めては少々遠くても色んな店に足を運び、良いと思えば2杯以上飲んで味を確認し、さらに焙煎豆を購入してみる、といったことを繰り返していました。 思えば僕の珈琲好きの原点は大学時代を過ごした京都北山にあった名店「ひいらぎ」だったように思います。ここは40年も前に既に一杯600円という珈琲を出す店でしたが、目の前でマスターが、鮮やかな手付きでモリモリとコーヒードームを盛り上がらせて淹れてくれるペーパードリップの味はちょっと背伸びしてでも飲みたくなるものでした。

入社まもなく手網焙煎を覚え、珈琲実験室と称して夜な夜な少量焙煎を繰り返しては当時職場にいた珈琲マニアの先輩とお互いに焙煎した豆を評価しあっていました。生豆は横浜天王町の珈琲問屋まで出掛けて焙煎豆と同じ価格で買わなければならない、ネット販売などない時代です。やがて電気式焙煎機も入手しましたがこれが酷く原始的なもので、ムラなく焼くために隙間だらけだった攪拌羽は改善して、さらに焙煎中は本体を揺り動かし続ける必要がありました。中煎りまでで止まってしまうので、自動停止のサーモスタットは切断し、好きなところで煎り止めをするために、強制排出用ワイヤーまで取り付けて、自作の外部冷却装置に放り込んで仕上げるなど改造しまくっていました。

退社前の数年間は勉強モード色が強くなり、SCAJ(Specialty Coffee Association Japan)などの珈琲関連の展示会があれば必ず休暇を取って一日中会場に入り浸り、週末は手廻し焙煎機や手網(煎り上手)を使って毎週1Kg前後の豆を試行錯誤しながら焙煎する日々。焙煎中の豆温度を計る道具も作って焙煎をコントロールすることで手廻し焙煎機でもかなり狙い通りの焙煎が出来るようになりました。

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決断の時

珈琲焙煎を仕事にしたい思いがますます募ってきた頃、ふと思い立って八尾にある伝説の店、ザ・ミュンヒに行きました。そこで一杯に250gの豆を使うという文字通り世界唯一のスペシャル・ネルドリップ珈琲や24年間樽で熟成した濃縮珈琲などを飲みながら、「なにかオンリーワンを作ればお客は集まってくる」という店主の話を聞いているうちに、ほぼ心の内が決まったように思います。やっぱり人生後半は自分の好きな道である珈琲を仕事にしようと。

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KAZUHICOFFEEの開業に向かって

退職後は相変わらず色んな珈琲実験を重ねながら、コーヒーマイスターやインストラクターの資格を取得しました。そしてある確信に至り、2021年に入って早々、3ヶ月ほどかけて庭の隅に6畳サイズのログハウスをセルフビルド。そこに10か月待ちで輸入したこだわりの英国製クラフト焙煎機 Cormorant CR600を設置した焙煎工房を立ち上げたのでした。 これからここを拠点に、皆さまに美味しい珈琲豆を届けると同時に、より多くの方に焙煎体験をして頂き、焙煎の楽しさと、いつも美味しい珈琲が身近にある幸せを伝えていきたいと考えています。

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KAZUHICOFFEEのミッション

From Seed to Cupというスペシャルティコーヒー協会の標語がありますが、今はお金を出せば最上級の珈琲(Cup)が誰でも飲めるいい時代になりました。しかし相変わらずその背後には、珈琲豆というバトンを農家さんから始まって、精選業者、輸出入、輸送、保管業者、生豆販売業者、焙煎業者、流通業者、珈琲店などと渡していき、美味しい珈琲を淹れてくれるバリスタさんに至るまでに多くのプレイヤーが介在します。そこに全部を行うシングルプレーヤーはいないのです。途中で誰かがバトンを落とせば全てが台無しになる世界。もちろんバトンを渡すたびに価格はどんどん釣り上がり、満足いく一杯(珈琲豆10-18g使用)の値段が600円にもなってしまうのです。実は相当にいい珈琲豆を使っても豆自体の原価は意外なほど安いのですが。

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さて、あなたはどの時点でバトンを受け取りたいですか? 僕は生豆の時点でバトンを受け取る立場にいるわけですが、実はここが分水嶺です。というのも珈琲は生豆であればとても安定していて2,3年は十分に美味しさを保ち、豆によっては生豆の状態で10年以上も寝かせたオールドクロップが高く評価されたりするのです。それが、ひとたび焙煎されると生鮮食料品並みに劣化が激しくなり、ちゃんと焙煎した珈琲豆でも常温なら1か月程度、これを挽いて粉にすると表面積が一気に何百倍にもなって劣化しやすくなり、僅か2,3日で最上級の珈琲も台無しの味になってしまうのです。私(僕)のは真空パックだから大丈夫だって? それは玉手箱のようなものです。袋を開けた瞬間は良い香りがしても、その後はやはり2,3日でダメになります。 焙煎したての新鮮な珈琲と劣化した珈琲の味の違いは、飲み比べれば誰でも納得するはずです。  

ということで本物の美味しい珈琲を飲むための手段は大きく3つ、それは:

(1) 毎回お気に入りの店まで足を運んで一杯600円を払って飲むか
(2) コマメに焙煎豆屋さんから新鮮な焙煎豆を購入して自分で挽いて淹れるか
(3) 余裕のある方はいっそ自分で焙煎してしまうところから始めるか、

となるのです。

KAZUHICOFFEEは、(2)と(3)を選ぶ方の助けになりたいと考えています。

直販ページでは新しくコーヒー豆を5種類加えました
是非お試しください!!